カットオーバー と対で語られる移行方式が、並行稼働(パラレルラン)です。並行稼働とは、旧システムと新システムを一定期間そのまま同時に動かし続け、両方の結果を突き合わせて新の正しさを確認してから、旧を停止する移行のやり方を指します。会計・給与・請求といった、間違いが許されない基幹業務の入れ替えでよく使われます。
まず押さえたいポイント
- 旧と新を同時に動かし、出力(帳票・残高・計算結果)を照合して確認する
- 旧が生きているので、新に問題が出てもすぐ旧に戻せるのが安心材料
- 一斉に切り替えるカットオーバーより安全だが、コストと期間は重い
- 同じ業務を二重に処理するため、二重入力の手間と人的ミスが起きやすい
どんな場面で使うか
新旧の計算結果を照合して「新でも同じ答えが出る」ことを実証したい場面に向きます。月次で締める会計・給与なら、1〜数回の締めを新旧の両方で通し、数値が一致することを確認してから旧を止める、という進め方が典型です。監査や規制で移行の正当性を示す必要があるときにも選ばれます。なお、並行稼働をだらだら続けると二重運用の負担だけが積み上がるため、「何を確認できたら旧を止めるか」という終了条件を先に決めておくのが、期間を無駄に延ばさないコツです。
よくある誤解や注意点
「並行稼働にすれば安全」と思われがちですが、それ自体が新たなリスクを抱えます。二重入力による負担増とミス、新旧が食い違ったときにどちらを正とするか(source of truth)の混乱、照合(突合)作業のコストです。また、顧客への二重請求や在庫の二重引き当てなど、そもそも並行させると実害が出る業務には使えません。Web・インフラでは、二重入力を伴わない ブルーグリーンデプロイ やカナリアリリースが代わりに使われます。カットオーバーとの使い分けは カットオーバーと並行稼働(パラレルラン)の違い で詳しく整理しています。