用語集 最終更新 2026.10.18

NVD

NVD は National Vulnerability Database の略で、アメリカの NIST が運営する脆弱性データベースです。CVE 番号を入口に、その脆弱性の詳細を調べるときの代表的な参照先になっています。

CVE レコードと NVD の分担

NVD は、CVE の情報を取り込み、検索・比較しやすい形に整えて情報を足しているデータベースです。CVE レコードそのものにも、発行した組織(CNA)が影響範囲や深刻度を書けるので、「CVE は番号だけ、中身は全部 NVD」ではありません。

CVE レコード NVD
番号 CVE の仕組みで割り当てる CVE の番号をそのまま使う
説明・参考リンク CNA が書く CVE から取り込む
影響を受ける製品・版 CNA が書く 検索できる形式(CPE)に整えて付ける ※
深刻度の点数(CVSS) CNA が付けることがある CNA の値を表示する。NIST が独自に付けることもある ※
脆弱性の種類(CWE) CNA が付けることがある NIST が付けることがある ※

※ NIST が付ける情報は、2026年4月から優先度の高いものに絞られています(次の節)。

NVD の詳細ページで点数を見るときは、誰が付けた点数か(CNA か NIST か)の表示も一緒に見ます。同じ脆弱性でも、付けた組織によって点数が違うことがあります。

2026年4月から、NVD の付加情報は全件には付かない

NIST は 2026年4月15日から、製品情報や独自の点数などを付ける作業(enrichment)を次の CVE に優先して行うと発表しました。

  • CISA の KEV Catalog に載ったもの(受け取ってから1営業日以内が目標)
  • 米国の連邦政府が使っているソフトウェアに関するもの
  • 大統領令 14028 で定める「重要なソフトウェア」に関するもの

それ以外の CVE も NVD には登録されますが、「Lowest Priority - not scheduled for immediate enrichment(すぐには付加しない)」という扱いになります。2026年3月1日より前に公開されて未処理だったものは「Not Scheduled」に移されました。また、CNA がすでに深刻度を付けている CVE には、NIST は原則として別の点数を付けなくなりました。

つまり「NVD に製品情報や NIST の点数が無い」状態は、これから普通にあります。情報が薄いと感じても、調べ方の問題ではありません。

そのときどうするか

NVD の付加情報を待つのではなく、ベンダーの告知と CVE レコード本体を先に見ます。自社製品にどの条件で影響するか、回避策があるかは、ベンダーにしか書けません。NVD は横並びで比べるための道具で、個別の判断材料はベンダー側にあります。

CVE の番号は、割り当てられた時点では「予約」の状態で、中身はまだ公開されません。誰でも見られるようになるのは、CNA がレコードを公開した時点です。

点数だけで優先順位を決めない

NVD で見られる CVSS の点数は、その脆弱性が最悪の条件で悪用されたときの深刻さを表します。自社にとっての緊急度とは別物です。

同じ9点台でも、次の2つはまったく違います。

  • インターネットに公開している機能で、認証なしに悪用できる
  • 使っていない機能で、そもそも有効化していない

優先順位を決めるときに見るのは、点数のほかに次の3つです。

  1. その機能を実際に使っているか
  2. 外部から到達できるか
  3. 実際に悪用されているか(KEV Catalog に載っているか)

3番目が載っていれば、点数が中くらいでも優先度は上がります。点数は出発点であって結論ではありません。

CVSS の点数に「実際に悪用されているか」を加えて対応の順番を決める方法は、KEVカタログで脆弱性対応の優先度を決める で解説しています。

参考(2026年10月18日に確認)

よく一緒に出てくる用語

  • 番号そのものである CVE
  • 深刻度の点数 CVSS
  • 悪用が確認されたものの一覧 KEV Catalog
  • 運営している NIST