セキュリティ サーバー ソフトウェア 公開日 2026.10.30 更新日 2026.11.02

2026年のセキュリティ更新の記録:修正からKEV追加までの日数と、ツール別の解説一覧

2026年に取り上げたセキュリティの更新を、時系列の表とツール別の入口にまとめた記録ページです。毎月、追記していきます。2026年10月の PHP2Shell・HTTP2Shell・GitLab・Linux カーネル(Fragnesia)・Laravel・VS Code・eMudhra の件を整理し、修正の公開から CISA の悪用確認済みの一覧(KEV)に載るまでの日数が5日から5か月以上まで幅があること、期限が3日の項目と14日の項目があることを、公式のデータで比べています。

目次(13項目)

先に要点

  • この記事は、2026年に取り上げたセキュリティの更新を時系列の表とツール別の入口にまとめた記録ページです。毎月、追記していきます(最終確認:2026年11月2日)。個々の脆弱性の詳しい確認方法と更新手順は、表からリンクした解説記事にあります。
  • 2026年10月は、PHP(PHP2Shell)、Brotli(HTTP2Shell)、GitLab、Linux カーネル(Fragnesia)、Cisco ASA/FTD、Ivanti Connect Secure の6件が、CISA の「悪用が確認された脆弱性」の一覧(KEV)に載りました。Laravel の認証回避、VS Code を狙う手口、認証局 eMudhra の鍵漏えいも取り上げています。
  • 修正の公開から KEV に載るまでの日数は、1日から5か月以上まで幅がありました。下の表の5件では、期限が3日の項目は侵害調査つき、14日の項目は侵害調査なしでした。「KEV に載ってから動く」では、3日しかないことがあります。
  • 古い月の記述は「その時点の記録」です。版や状況は動くので、作業の前に必ず公式の最新を確かめてください。

「最近、重大な脆弱性のニュースが多くて、何から見ればいいか分からない」という方向けの記事です。ニュースは流れて消えていきますが、自分の環境に関係するものを一度に見渡せる場所があると、見落としが減ります。

この記録ページは、サイトで解説した更新を月ごとに並べ、どのツール・サービスの話か、KEV に載ったか、どの解説記事を読めばよいかを示します。日付と期限は、CISA の KEV のデータと NVD の掲載日をもとにしています。

2026年10月の更新一覧

日付(2026年) ツール・サービス 内容 KEV 解説記事
10月12日・21日 GitLab(自社運用版) 認証なしでコード実行を受けうる CVE-2026-97229 と、同種の CVE-2026-110264(どちらも CVSS 10.0)。最初の修正版では足りない 10月29日に追加(97229) GitLab の重大な脆弱性
10月21日 LiteLLM(Python) 1.107.0 が認証情報を盗む状態で PyPI と Docker に数時間だけ公開。1.106.2 以前は安全 9月に別件で追加済み(今回の版は対象外) LiteLLM 1.107.0 の混入
10月13日・29日 Ivanti Connect Secure(VPN 装置) 認証回避からのコード実行(CVE-2026-104935)、権限昇格(CVE-2026-111357)、ファイル書き込み(CVE-2026-118527)の3件が連鎖して悪用。上げ先は 25.1.1.3・22.8R2.6・25.1.3.0 以降 10月13日(104935)、10月30日(残り2件)に追加 Ivanti Connect Secure の連鎖攻撃
10月28日 Cisco ASA/FTD(VPN 装置) SSL VPN に二次認証を設定した装置を、認証なしで再起動させられる(CVE-2026-76418、CVSS 8.6)。修正版は系統ごとに異なる 10月29日に追加(期限は11月1日) Cisco ASA/FTD の SSL VPN の脆弱性
10月15日・30日 Linux カーネル(TCP) IPv4 オプション付きの SYN の再送で、解放済みのメモリが読まれる(CVE-2026-98432、CVSS 9.8)。Debian は修正版あり、Ubuntu と RHEL は10月30日時点で未公開 2026年11月1日時点で未掲載(実証は報告されている) Linux カーネルの TCP の脆弱性
10月21日 BIND 9(DNS サーバー) GSS-TSIG 署名つきの UDP メッセージの再送でメモリが壊れる(CVE-2026-94300、CVSS 8.1)。修正版は 9.20.30・9.21.27 2026年10月31日時点で未掲載(ISC は悪用を把握していないと記載) BIND 9 の GSS-TSIG の脆弱性
10月21日 PHP PHP2Shell(CVE-2026-109618・109619)。認証なしでコード実行。修正版 8.5.12・8.4.27・8.3.36・8.2.35 10月26日に追加 PHP2Shell とは
10月22日 Brotli(Node.js・Python など) HTTP2Shell(CVE-2026-111497)。細工した圧縮データを展開するだけでコード実行を受けうる 10月27日に追加 HTTP2Shell とは
10月(判明) 認証局 eMudhra 中間CA 8つの秘密鍵の漏えい。ブラウザは遮断済みだが、ブラウザ以外の信頼する証明書の一覧は更新が要る CVE なし eMudhra の中間CA漏えい
10月(報告が続く) VS Code 採用の課題を装って悪意あるリポジトリを開かせ、tasks.json の自動タスクで攻撃コードを動かす手口 CVE なし(攻撃の手口) VS Code の悪意あるリポジトリ
10月(JPCERT/CC の10月28日の週報で言及) Laravel TokenGuard の認証回避(CVE-2026-114509)。修正版は 13.29.0・12.68.0(8月25日公開) 載っていない Laravel TokenGuard の認証回避
5月23日(NVD 掲載)→ 10月28日 Linux カーネル Fragnesia(CVE-2026-46300)。権限昇格。PHP2Shell と組み合わせた攻撃が報告された 10月28日に追加 Linux カーネルの Fragnesia

10月26日には、PHP2Shell について JPCERT/CC の注意喚起が更新され、10月29日には、PHP2Shell と Linux カーネルの脆弱性を組み合わせた実際の侵害例が、あらためて伝えられました。別々に見えるニュースが、実際にはつながっているのが、この月の特徴です。

修正から KEV に載るまでの日数

「修正版が出てから、実際に悪用されるまで、どれくらい猶予があるのか」は、更新の計画を立てるうえで気になる点です。今月の5件について、公式のデータで日数を数えました。Ivanti Connect Secure は3件の脆弱性が10月13日と30日に分かれて追加されたため、この表には入れていません。

脆弱性 修正・掲載の日 KEV に追加 日数 期限 侵害調査
PHP2Shell 10月21日(修正版の公開) 10月26日 5日 10月29日(3日後) あり
HTTP2Shell 10月22日(NVD 掲載) 10月27日 5日 11月10日(14日後) なし
GitLab 10月12日(修正版の公開) 10月29日 17日 11月1日(3日後) あり
Cisco ASA/FTD 10月28日(アドバイザリの公開) 10月29日 1日 11月1日(3日後) あり
Fragnesia 5月23日(NVD 掲載) 10月28日 158日 10月31日(3日後) あり
Laravel(参考) 8月25日(修正版の公開) 載っていない 66日が経過(10月30日時点) — —

猶予は短いことがある

PHP2Shell と HTTP2Shell は、修正の公開から5日で KEV に載りました。修正版が出た週のうちに更新の計画を立てるのが、現実的な目安です。

古い脆弱性が突然、使われる

Fragnesia は、5月に公表されていたものが、10月に PHP2Shell と組み合わされて悪用されました。時間が経った脆弱性でも、別の脆弱性と連鎖すると急に危険になります。

期限が短い項目は調査つき

表の5件では、期限が3日の4件はすべて侵害調査の対象で、14日の1件は侵害調査なしでした。ほかの月も同じになるかは分かりません。KEV の項目ごとに、期限と侵害調査の印を見るのが確実です。

KEV に無いものも見る

Laravel の件は KEV に載っていませんが、認証を回避される重大な問題でした。KEV は「悪用が確認された」ものの一覧で、載っていないものが安全という意味ではありません。

日数は、修正版の公開日または NVD への掲載日から、KEV の追加日までを数えています。PHP と GitLab は公式の告知にある修正版の公開日、HTTP2Shell と Fragnesia は NVD の掲載日を使いました(NVD の掲載日は、修正版の公開日と異なることがあります)。KEV の見方と優先度の付け方は KEVカタログとは? で解説しています。

ツール別の入口

自分が使っているものから、関係する記事をたどれるように整理しました。

言語・フレームワーク

PHP2Shell、HTTP2Shell(Node.js・Python など)、Laravel の TokenGuard。Laravel の使いどころは Laravelとは?向いている案件 も参照。

サーバー・OS

Linux カーネルの Fragnesia。カーネルの更新は再起動が要るので、計画を先に立てておきます。

開発基盤・開発ツール

自社運用の GitLab、VS Code と悪意あるリポジトリ。開発者の端末と開発基盤は、供給網の一部として狙われます(サプライチェーンとは)。

証明書・HTTPS

eMudhra の中間CA漏えい。ブラウザ以外が持つ「信頼する証明書の一覧」の更新が要ります。

この記録の読み方:古い月の記述について

この記録は、各月の時点で何が起きたかを残すものです。数か月たつと、版や状況が変わります。

古い版の話を、そのまま今の作業に使わない

表にある「修正版」「期限」「KEV」は、書かれた月の時点のものです。実際に更新するときは、リンク先の解説記事の確認日を見たうえで、公式の最新の告知(各ツールのリリース一覧、KEV、NVD)で最新の修正版を確かめてください。サポートが終わった版は、修正版が出ないこともあります(EOLとLTSの違い)。

解説記事の側も、続報があれば追記し、確認日を更新します。

毎月の動きを、自分で拾うには

この記録に載らないものは、自分で拾う必要があります。方法は、脆弱性情報の集め方に整理しています。最低限の流れは次のとおりです。

毎月のセキュリティ更新の拾い方

  1. 1
    使っているものの一覧を持つ

    OS、言語、フレームワーク、開発基盤、ブラウザ、機器。何が動いているかが分からないと、ニュースが自分に関係するか判断できない。

  2. 2
    KEV と国内の注意喚起を週に一度見る

    CISA の KEV(追加と期限)と、JPCERT/CC・IPA の注意喚起を見る。新しく載ったものが自分の一覧にあるかを確かめる。

  3. 3
    該当するものは、期限を決めて更新する

    KEV に載ったものは、期限を確認して最優先で更新する。再起動が要るものは、時間を先に確保する。

  4. 4
    更新後に版を確かめ、痕跡を見る

    動いている版が修正済みかを確かめる。悪用が確認されたものは、更新の前に証拠を残し、痕跡も調べる。

よくある質問

この記録ページは、どれくらいの頻度で更新しますか?

月に一度、その月に取り上げた更新を追記します。大きな続報があれば、その解説記事と合わせて直します。更新したときは、このページの確認日も変えます。

解説記事のない脆弱性は、載りませんか?

はい。この記録に載るのは、サイトで解説した更新だけです。すべての脆弱性を網羅するものではありません。網羅的に見るには、KEV や JVN の一覧を直接見るのが確実です。

「KEV に載っていない=安全」ですか?

いいえ。KEV は、悪用が確認されたものの一覧です。載っていなくても、公開された修正が出ている重大な脆弱性は、通常の更新の計画で対応します。

優先度は、どう決めればよいですか?

KEV に載っているか、自分の環境に該当するか、インターネットから届く場所にあるかの3点で決めます。詳しくは KEVカタログとは? を参照してください。

まとめ

  • この記事は、2026年に取り上げたセキュリティ更新の記録ページ。毎月、追記する
  • 10月は、PHP2Shell・HTTP2Shell・GitLab・Fragnesia・Cisco ASA/FTD・Ivanti の6件が KEV に載った。Laravel・VS Code・eMudhra も取り上げた
  • 修正から KEV に載るまでは1日〜158日。修正版が出た週に計画を立てる。期限が3日の項目は、侵害調査も求められる
  • 古い月の記述は「その時点の記録」。作業の前に、公式の最新で確かめる

参考リンク

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