先に要点
- EOL は「修正が一切出なくなる日」、LTS は「長く修正を出すと決めた版」です。LTS にも必ず EOL があり、2つは対になる言葉ではなく、版の種類と、その版の終わりの日という関係です。
- 「サポート中」は1段階ではありません。多くのソフトは何でも直る時期 → セキュリティだけ直る時期 → EOL と進みます。サポート中でも、普通の不具合はもう直らないことがあります。
- LTS の長さはソフトごとにまったく違います。2026年9月13日に公式ページで確認すると、Node.js は30か月、Ubuntu は標準で5年、Next.js は初回リリースから2年でした。PHP・Python・Laravel には LTS という区分自体がありません。
- 自分の環境の版を調べて、「セキュリティだけになる日」と「EOL」の2つの日付を控えておくと、移行の計画を立てる時期を逃しません。
EOL と LTS は、どちらもソフトウェアのサポート期限の話で出てくる言葉です。「LTS 版を選べば安心」「EOL が近いので上げる」のように使われますが、実際に各ソフトのサポート方針のページを開くと、Active LTS、Maintenance LTS、Security fixes only、Expanded Security Maintenance など、呼び方がばらばらで戸惑います。
この記事は、EOL と LTS の関係を整理したうえで、Node.js・Ubuntu・PHP・Python・Laravel・Next.js・Windows の実際のサポート方針を並べ、どこを読めば「いつまで安全に使えるか」が分かるかをまとめます。数字はすべて2026年9月13日に各公式ページで確認したものです。
EOL と LTS はどういう関係か
EOL(End of Life)は、その版に対して提供元が修正を出さなくなる時点です。セキュリティの修正も止まるので、EOL を過ぎた版で新しい脆弱性が見つかっても、塞がれることはありません。
LTS(Long Term Support)は、通常より長く修正を出すと決められた版のことです。長いといっても無期限ではなく、LTS にも EOL があります。
つまり、次のような関係です。
| 言葉 | 何を表すか | 例 |
|---|---|---|
| LTS | 版の種類。長く支えると決めた版 | Ubuntu 24.04 LTS、Node.js 24 |
| EOL | ある版の終わりの日付 | Node.js 22 の EOL は2027年4月30日 |
「LTS か EOL か」という比べ方はできず、「この LTS 版の EOL はいつか」と組み合わせて読むのが正しい使い方です。販売終了を表す EOS(End of Sale)と混同しやすい点は、用語集の EOL で整理しています。
「サポート中」には段階がある
サポート方針を読むときにいちばん大事なのが、EOL の手前にある段階です。呼び方はソフトごとに違いますが、中身はおおむね次の3段階に分かれます。
| 段階 | 直るもの | 各ソフトでの呼び方の例 |
|---|---|---|
| 1. 通常の修正 | 不具合もセキュリティも直る | Active support(PHP)、Bug fixes(Laravel)、Active LTS(Node.js・Next.js)、Mainstream Support(Microsoft) |
| 2. 限られた修正 | 重要なセキュリティの修正が中心。普通の不具合は直らないことが多い | Security fixes only(PHP・Laravel)、Maintenance LTS(Node.js・Next.js)、Extended Support(Microsoft) |
| 3. EOL | 何も直らない | End of life、Unsupported |
2段階目の中身はソフトによって幅があります。PHP は「重大なセキュリティの問題だけ」、Next.js の Maintenance LTS は「重大な不具合の修正と必須のセキュリティ更新だけ」、Microsoft の Extended Support は「セキュリティ更新は無償、セキュリティ以外の更新は無し」です。
2段階目に入った版で不具合を見つけても、修正は次の版にしか入らないことがあります。公式の表で「今どの段階か」を見るまでは、「サポート中なので大丈夫」と判断しないでください。
主要なソフトのサポート方針(2026年9月13日に確認)
各ソフトの公式ページに書かれている方針を並べます。
| ソフト | LTS という区分 | 通常の修正 | その後 | EOL までの長さ |
|---|---|---|---|---|
| Node.js | あり。26 までは偶数版だけ、27 からは全版 | Current の6か月のあと LTS | LTS の後半は Maintenance | LTS として合計30か月 |
| Ubuntu | あり。2年ごと | LTS は標準で5年(Main リポジトリのみ) | Ubuntu Pro で延長 | 標準5年、延長で最長15年。LTS でない版は9か月 |
| PHP | 無し。どの版も同じ扱い | 2年 | セキュリティだけ2年 | 4年 |
| Python | 無し。どの版も同じ扱い | 約2年 | セキュリティだけ | リリースから5年 |
| Laravel | 無し。どの版も同じ扱い | 18か月 | セキュリティだけ | 2年 |
| Next.js | サポート中の版はすべて LTS と呼ぶ | 最新のメジャー版が Active LTS | 1つ前が Maintenance LTS | 初回リリースから2年 |
| Windows 11(Home・Pro) | 版ごとに期限 | 各版24か月(Enterprise・Education は36か月) | 期限までに次の版へ上げる | 版ごとに24か月 |
具体的な日付の例も挙げておきます。
| 版 | 限られた修正に入る日 | EOL |
|---|---|---|
| Node.js 22 | 2025年10月21日(すでに Maintenance) | 2027年4月30日 |
| Node.js 24 | 2026年10月20日 | 2028年4月30日 |
| Ubuntu 24.04 LTS | ― | 標準のサポートは2029年5月まで |
| PHP 8.3 | 2025年12月31日(すでにセキュリティだけ) | 2027年12月31日 |
| PHP 8.4 | 2026年12月31日 | 2028年12月31日 |
| Python 3.10 | すでにセキュリティだけ | 2026年10月 |
| Laravel 12 | 2026年8月13日(すでにセキュリティだけ) | 2027年2月24日 |
| Windows 11 バージョン 24H2 | ― | 2026年10月14日(米国太平洋時間) |
読むときに間違えやすい5つの点
1. LTS の長さはソフトごとにまったく違う
同じ LTS という名前でも、Node.js は30か月、Ubuntu は標準で5年です。「LTS だから5年は大丈夫」のように、別のソフトの感覚を持ち込むと期限を読み違えます。LTS という言葉ではなく、その版の日付を見るのが確実です。
2. 「LTS」と書いてあっても、段階が違うことがある
Node.js と Next.js は、LTS の中を Active と Maintenance に分けています。Next.js はサポート中の版をすべて LTS と呼んでいるので、「LTS 版を使っている」だけでは、新しい修正が入る版なのか、重大なものだけの版なのかが分かりません。
3. 製品はサポート中でも、使っている版は切れる
Windows 11 そのものはサポート中ですが、Home と Pro の各バージョンは24か月で期限を迎えます。24H2 のまま更新を止めていると、2026年10月14日以降は月例の更新が届かなくなります。「Windows 11 だから大丈夫」ではなく、バージョンまで見る必要があります。
4. 延長の仕組みを、通常の期限と混ぜない
Ubuntu は、Main リポジトリのパッケージに標準で5年のセキュリティ修正を出します。10年・15年という数字は、Ubuntu Pro に加入した場合の話です。Windows の ESU(拡張セキュリティ更新)も同じで、申し込まないと延びません。社内の資料に期限を書くときは、延長込みの日付なのかを明記しておかないと、誰かが延長を前提に判断してしまいます。
5. 方針そのものが変わることがある
Node.js は2026年3月に、27 から方式を変えると発表しました。
これまでは奇数の版は LTS にならず6か月で終わっていましたが、27 以降はすべての版が LTS になり、年1回のリリースになります。26 は従来の方式の最後の版です。古い解説記事の「奇数版は本番で使わない」は、27 以降には当てはまりません。
Laravel 13 のバグ修正の期限は「2027年第3四半期」、Ubuntu は「2029年5月」、Microsoft は米国太平洋時間の日時で書かれています。社内の管理表には、公式の書き方のまま写しておき、確認した日を添えるのが安全です。
自分の環境の版と期限を確かめる
まず、使っている版を調べます。
node -v
php -v
python --version
cat /etc/os-release
php artisan --version
最後の行は Laravel のプロジェクトのフォルダで実行します。Next.js なら npm ls next で入っている版が分かります。
Windows のバージョンは、winver で表示されるほか、PowerShell で次のように取り出せます。
(Get-ItemProperty "HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion").DisplayVersion
筆者の作業用の PC で実行すると、次のように出ました。
25H2
v22.22.0
PHP 8.5.1 (cli)
Python 3.12.0
これを公式の表に当てはめると、次のようになります。
| 版 | 今の段階 | 次の日付 |
|---|---|---|
| Windows 11 25H2 | サポート中 | 2027年10月13日で期限 |
| Node.js 22 | Maintenance LTS | 2027年4月30日で EOL |
| PHP 8.5 | 通常の修正 | 2027年12月31日からセキュリティだけ |
| Python 3.12 | セキュリティだけ | 2028年10月で EOL |
Node.js 22 と Python 3.12 は、すでに2段階目に入っていました。今すぐ危ないわけではありませんが、次に大きな作業をするときに上げる対象として控えておく、という判断ができます。
管理表を作るなら、版ごとに次の4つを並べておくと足ります。
- 使っている版
- 限られた修正に入る日
- EOL の日
- 確認した日と、確認した公式ページの URL
期限が近いときに、何から手をつけるか
延長を使い続けること自体を目的にしない方が、結果的に負担が小さくなります。
サポートが切れた OS を放置したときに何が起きるかはサーバーのOSが古いとどうなる?、Windows 10 の具体的な選択肢はWindows 10のセキュリティはどうなる?にまとめています。
よくある質問
LTS 版を選べば、しばらく何もしなくていいですか
期限が長いだけで、その期間中に出る修正は当て続ける必要があります。LTS は「上げ替えの頻度を減らせる版」であって、「更新しなくてよい版」ではありません。
EOL を過ぎたら、ソフトは動かなくなりますか
多くの場合は動き続けます。Microsoft も、サポートが終わった OS はプログラムやハードウェアで引き続き動作することがあると説明しています。問題は動くかどうかではなく、新しく見つかった脆弱性が直らないことです。
PHP や Laravel に LTS 版はありますか
2026年9月時点の公式の方針では、どちらにも LTS という区分はありません。PHP はどの版も「通常の修正2年+セキュリティだけ2年」、Laravel はどの版も「バグ修正18か月、セキュリティ修正2年」です。
Node.js は本番でどの版を使えばいいですか
Node.js の公式ページは、本番のアプリケーションには Active LTS か Maintenance LTS の版だけを使うよう案内しています。Current の段階の版は、ライブラリの作者が対応を進めるための期間という位置づけです。
まとめ
- LTS は版の種類、EOL はその版の終わりの日。LTS にも EOL がある
- 「サポート中」は通常の修正 → 限られた修正 → EOL の段階に分かれる。今どの段階かを公式の表で見る
- LTS の長さはソフトごとに違う。言葉ではなく日付で判断する
- 製品がサポート中でも、使っている版は切れることがある(Windows 11 の各バージョンなど)
- 延長の仕組みで延びる期限は、通常の期限と分けて書く
- 自分の環境の版を調べ、限られた修正に入る日と EOL の2つを控えておく
参考リンク
- Node.js:Node.js Releases
- Node.js:Evolving the Node.js Release Schedule(2026年3月10日)
- Node.js:リリースの日程(schedule.json)
- Ubuntu:The Ubuntu lifecycle and release cadence
- PHP:Supported Versions
- Python Developer Guide:Status of Python versions
- Laravel:Release Notes(Support Policy)
- Next.js:Support Policy
- Microsoft Learn:Windows 11 Home and Pro のライフサイクル
- Microsoft Learn:Lifecycle FAQ - Windows
- Microsoft Learn:Fixed Lifecycle Policy
- Microsoft Learn:Modern Lifecycle Policy
- サーバーのOSが古いとどうなる?放置で起きること・「古い」と「サポート切れ」の違いと対処
- Windows 10のセキュリティはどうなる?サポート終了後のリスクと取るべき選択肢
- 脆弱性スキャナが緑でも本番は古いことがある|lockと実体がずれる原因と確認方法