ソフトウェア 公開日 2026.04.22 更新日 2026.04.22

情報設計(IA)とは?Webサイトやアプリで迷わない構成を作る基本

情報設計とは何かを、Webサイトやアプリで情報を分類し、ラベル、ナビゲーション、導線を整えて、迷わず目的にたどり着ける構成を作る考え方として整理します。

先に要点

  • 情報設計は、Webサイトやアプリの情報を分類し、名前を付け、探しやすい構造にする考え方です。
  • 画面をきれいにする前に、ユーザーが「どこに何があるか」「次に何をすればよいか」を理解できる状態を作ります。
  • サイトマップ、カテゴリ、ナビゲーション、パンくず、検索、一覧、フォーム導線などが情報設計の対象になります。
  • ワイヤーフレーム情報設計を画面に落とす資料の1つで、情報設計そのものとは少し役割が違います。

Webサイトやアプリは、見た目がきれいでも、情報の置き場所が分かりにくいと使われません。
「料金はどこにあるのか」「問い合わせ前に何を読めばよいのか」「管理画面で設定を変えたいのに見つからない」といった迷いは、デザインの装飾より前に、情報の構造で起きていることが多いです。

そこで必要になるのが情報設計です。
情報設計は、ページや機能をただ並べる作業ではありません。ユーザーが目的に合わせて情報を探し、理解し、次の行動へ進めるように、分類、ラベル、ナビゲーション、導線を整える作業です。

この記事では、情報設計をWebサイトやアプリ制作の実務で使う前提で、何を決めるのか、ワイヤーフレームやサイトマップと何が違うのか、どこで失敗しやすいのかを整理します。

情報設計とは

情報設計とは、情報や機能をユーザーが理解しやすい形で整理し、探しやすく、使いやすくするための設計です。
英語では Information Architecture、略して IA と呼ばれます。

Nielsen Norman Group は、情報設計をサイトのコンテンツや機能の関係を決める構造、組織化、名前付けの問題として扱っています。VA.gov Design System でも、情報設計は情報の組織化、ラベル、ナビゲーションを通じて、人が必要なものを見つけ、今いる場所と次に行ける場所を理解できるようにするものとして説明されています。

つまり情報設計で考えるのは、単に「メニューをどこに置くか」ではありません。

  • 情報をどう分類するか
  • カテゴリ名やボタン名をどう付けるか
  • どのページからどのページへ進めるか
  • 一覧、検索、絞り込みをどう用意するか
  • 今いる場所をどう伝えるか
  • 初めて来た人と慣れた人の探し方をどう両立するか

このあたりをまとめて考えるのが情報設計です。

なぜ必要なのか

情報設計が弱いと、ユーザーは目的の情報にたどり着く前に疲れます。

たとえば、コーポレートサイトなら、サービス内容、料金、導入事例、問い合わせ、会社情報、採用情報が混ざっていると、訪問者はどこから見ればよいか迷います。
SaaSの管理画面なら、契約、メンバー、権限、通知、請求、API設定が似た名前で散らばっていると、設定変更のたびに探すことになります。

情報設計が必要なのは、ページ数が多いサイトだけではありません。
小さなLPでも、最初に何を伝え、どの順番で不安を解消し、どこで行動してもらうかを決める必要があります。

情報設計が弱い状態 起きやすいこと
カテゴリが作り手都合 ユーザーが探す言葉とずれる
ラベルが曖昧 クリック先を予想できない
導線が多すぎる 次に何をすればよいか迷う
重要情報が深い階層にある 読まれる前に離脱される
一覧や検索が弱い 情報量が増えたときに破綻する

情報設計は、見た目の前に「迷いの原因」を減らすための土台です。

情報設計で決めること

情報設計では、主に次のようなことを決めます。

項目 決めること
分類 情報や機能をどのまとまりに分けるか
ラベル カテゴリ名、メニュー名、ボタン名、見出しをどう呼ぶか
階層 どの情報を上位に置き、どの情報を詳細に置くか
ナビゲーション グローバルナビ、サイドバー、フッター、パンくずをどう使うか
導線 次に読ませたいページ、行動させたい場所へどうつなぐか
検索・絞り込み 情報量が多いときにどう探せるようにするか
状態 空状態、エラー、権限なし、未設定状態をどう見せるか

ここで大事なのは、情報設計は「全部をメニューに出すこと」ではないという点です。
むしろ、重要度の低いものを下げ、似たものをまとめ、ユーザーの目的に沿って見せる順番を決める作業です。

サイトマップやワイヤーフレームとの違い

情報設計は、サイトマップやワイヤーフレームと混同されがちです。

用語 役割
情報設計 情報の分類、ラベル、構造、探し方を決める考え方
サイトマップ ページやURLの全体構造を一覧化する資料
ワイヤーフレーム 画面上で情報をどう配置するかを表す構成案
ナビゲーション ユーザーが移動するためのメニューやリンク

sitemap.xml は検索エンジン向けにURL一覧を伝えるファイルですが、制作現場でいうサイトマップはページ構造を整理する資料を指すこともあります。
どちらも「全体像を整理する」点では近いですが、情報設計はURL一覧よりも広く、ユーザーがどう理解し、どう探すかまで含めます。

また、ワイヤーフレーム は情報設計の結果を画面に落とすための資料です。
情報設計で「料金、機能、導入事例、FAQ、問い合わせをどう並べるか」を決め、そのあとワイヤーフレームで「画面上にどう置くか」を検討する、と考えると分かりやすいです。

詳しいワイヤーフレームの考え方は、ワイヤーフレームとは?デザイン前に画面構成を整理する理由 で整理しています。

実務での進め方

情報設計は、いきなりメニュー名を考えるより、ユーザーの目的から逆算すると進めやすいです。

  1. 誰が使うのかを整理する
  2. その人が達成したい目的を書き出す
  3. 既存ページや機能を棚卸しする
  4. 情報をグループに分ける
  5. ユーザーの言葉に近いラベルを付ける
  6. 主要導線と補助導線を分ける
  7. サイトマップや画面遷移に落とす
  8. ワイヤーフレームで確認する
  9. 実際に探せるかレビューする

たとえば採用サイトなら、作り手は「制度」「募集要項」「カルチャー」「社員紹介」と分けたくなります。
でも応募者は、「未経験でも応募できるか」「給与はどれくらいか」「リモート勤務できるか」「どんな人と働くのか」を探しているかもしれません。

このズレを見つけるのが情報設計の大事な仕事です。
社内の部署名や作り手の分類ではなく、利用者が探す言葉、判断する順番、迷いやすい点を基準に構造を作ります。

よくある失敗

情報設計でよくある失敗は、作り手の都合がそのまま表に出ることです。

  • 社内組織の名前をそのままカテゴリ名にする
  • 似たページが複数あり、どれを読めばよいか分からない
  • メニュー項目を増やしすぎる
  • 「その他」「サービス」「ソリューション」のような曖昧なラベルに逃げる
  • 初心者向け情報と既存利用者向け情報が混ざる
  • 検索や絞り込みがなく、一覧が長くなる
  • 重要な行動導線がフッターや深い階層に埋もれる

特に多いのは、「情報が全部載っているから大丈夫」と考えることです。
ユーザーにとって大事なのは、情報が存在することだけではありません。必要なタイミングで見つけられ、意味が分かり、次の行動へ進めることです。

レビューで見るポイント

情報設計をレビューするときは、見た目よりも次を確認します。

  1. 初めて来た人が主要な目的を達成できるか
  2. カテゴリ名がユーザーの言葉に近いか
  3. 似た情報が分散していないか
  4. 重要なページへ2〜3クリック程度で行けるか
  5. 現在地と戻り方が分かるか
  6. 一覧、検索、絞り込みが情報量に見合っているか
  7. 問い合わせ、登録、購入などの行動導線が自然か
  8. 将来ページが増えても破綻しないか

実務では、関係者だけで眺めるより、実際の利用者に近い人へ「この情報を探してください」と頼む方が早く問題が見つかります。
カードソートやツリーテストのような手法を使うこともありますが、小規模なサイトなら、まずは数人に探してもらうだけでも十分な発見があります。

AIで画面案を作るときほど必要

最近はAIに「LPを作って」「管理画面を作って」と頼むと、見た目の整った画面案がすぐ出ます。
ただ、AIが作った画面は、情報設計まで正しいとは限りません。

AIはそれらしい見出し、カード、ボタンを並べるのは得意ですが、実際のユーザーが何を探しているか、社内の業務フローでどの順番が自然か、法務やサポート上どの情報を先に見せるべきかまでは、入力しない限り分かりません。

そのため、AIで初期案を作る場合でも、次は人間が確認した方が安全です。

  • ユーザーの目的に沿った順番になっているか
  • メニュー名が曖昧ではないか
  • 重要情報が下に埋もれていないか
  • 同じ意味のページやボタンが重複していないか
  • 画面単体ではなく前後の導線がつながっているか

AIは初稿作りには便利ですが、情報設計の判断を丸投げすると、きれいなのに迷う画面になりやすいです。

まとめ

情報設計は、Webサイトやアプリで情報を分類し、名前を付け、ユーザーが迷わず目的にたどり着ける構成を作る考え方です。
ナビゲーション、カテゴリ、ラベル、検索、一覧、導線、階層を整えることで、見つけやすさと使いやすさが大きく変わります。

ワイヤーフレームやデザインに入る前に情報設計を整理しておくと、見た目の議論だけに流されにくくなります。
実務では、作り手の分類ではなく、ユーザーが探す言葉、判断する順番、迷う場所を基準にすることが大切です。

画面を作る前に「この人は何を探しに来るのか」「どの言葉なら迷わないか」「次にどこへ進めばよいか」を決める。
その地味な整理が、使いやすいWebサイトやアプリの土台になります。


参考リンク

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