プログラミング ソフトウェア 公開日 2026.08.08 更新日 2026.08.08

個人開発でアプリを売ると手数料はいくら?App Store・Google Play・Web決済の実額を2026年版で整理

個人開発でアプリを売るときに実際に出ていく金額を、Apple Developer Programの年会費、Google Playの登録料、ストア手数料、Web決済の手数料まで一次情報で整理します。2026年に変わった地域別の料率とスマホ新法の施行状況も反映しています。

「個人でアプリを作って売ったら、結局いくら取られるのか」——ここが曖昧なまま作り始めると、リリース直前になって収支が合わないことに気づきます。

やっかいなのは、この分野の情報が2025年から2026年にかけて大きく書き換わったことです。「App Store は30%」「Google Play は15%と30%」という説明は、いまでは地域によって正しくありません。この記事では、2026年8月時点の一次情報にあたって、実際に出ていくお金だけを並べます。

結論:2026年8月時点の早見表

何に対して Apple(App Store) Google(Google Play) Web決済(Stripeの例)
始めるための固定費 99 USD/年 25 USD/一回のみ 0円(口座開設のみ)
デジタル課金の手数料(日本) 30%(小規模は15%) 15%(100万USD超の部分は30%、サブスクは15%) 3.6%
海外カード ストア側で吸収 ストア側で吸収 +2%
請求・解約・領収書 ストアが持つ ストアが持つ 自分で作る

固定費だけ見ると Google Play が圧倒的に安く見えますが、これは登録料の話であって、手数料の話ではありません。両方を分けて考えるのが第一歩です。

出ていくお金①:始めるための固定費

Apple は年99 USD、払い続ける必要がある

App Store でアプリを配信するには Apple Developer Program への加入が必須で、年会費は99 USDです。個人・個人事業主・法人のいずれでも同額で、非営利団体・教育機関・政府機関は免除申請の対象になります。

見落としやすいのは、これがサブスクリプションであるという点です。更新しなければ配信中のアプリはストアから外れます。「1本作って放置したい」という使い方とは相性が悪く、アプリが1円も稼がなくても毎年99 USDは出ていきます

なお、Xcode や技術文書、フォーラムの利用だけなら無料の Apple Account で足ります。作るだけなら無料、配るなら有料という切り分けです。

Google は25 USDの買い切り

Google Play Console のデベロッパー登録は 25 USD の一回払いで、更新はありません。ここは Apple と大きく違う点です。

ただし2026年現在、登録時の本人確認はかなり厳格です。本人名義の政府発行IDとクレジットカードが求められ、個人アカウントの場合は追加でテスト関連の要件もあります。「思い立った日にストアへ出す」はできないと考えておいてください。

出ていくお金②:売れたときの手数料

Apple:標準30%、条件を満たせば15%

Apple の標準手数料は30%です。ただし App Store Small Business Program に登録すると 15% になります。条件は「前暦年の収益(proceeds)が100万USD以下」で、App Store に新規参入する開発者も対象です。

つまり個人開発者は、ほぼ全員が15%側だと考えて構いません。逆に、年の途中で100万USDを超えた場合はその先の売上に標準料率が適用され、翌年また下回れば15%に戻れます。

Google Play:2026年6月30日から地域で体系が割れた

ここが最も誤解されている部分です。日本を含む「その他の市場」では従来どおり、最初の年間100万USDまで15%、超えた部分は30%、自動更新サブスクリプションは金額にかかわらず15%です。

一方で EEA・英国・米国では、2026年6月30日から別の体系になりました。公式ヘルプの表記では次のような形です。

  • 新規インストール:サービス手数料 10% + 課金手数料5%
  • 既存インストールの通常取引:20% + 課金手数料5%、または外部ウェブリンク経由なら20%
  • 自動更新サブスクリプション:10% + 課金手数料5%

「サービス手数料」と「課金手数料」が分かれたことがポイントで、Google Play の決済を使わなければ課金手数料5%の部分が落ちる構造になっています。海外向けに出すなら、この差は無視できません。

Web決済:Stripe なら3.6%

Web で直接売る場合、日本の Stripe のカード決済手数料は 3.6% です。通貨換算が必要な海外カードでは さらに2% が上乗せされます。

数字だけ見れば圧勝ですが、後述するとおりこれは「手数料以外を全部自分でやる」ことと引き換えです。

2026年に何が変わったのか

古い記事とここが決定的に違う、という点を3つだけ挙げます。

1. 米国では外部リンクにエンタイトルメントが要らなくなった

Apple の App Review Guidelines 3.1.1(a) には、外部サイトへ誘導するためのエンタイトルメント制度の説明に続けて、**「これらのエンタイトルメントは、米国ストアフロントのアプリにボタン・外部リンク・その他の行動喚起を含める場合には必要ない」**と明記されています。米国の裁判所の判断を受けた変更です。

つまり米国向けには、アプリ内から自社サイトの決済ページへ直接誘導できます。「アプリ内課金以外は一切禁止」という前提で書かれた記事は、少なくとも米国については古くなっています。

2. Google Play の手数料表が地域で分裂した

前述のとおり、2026年6月30日を境に EEA・英国・米国だけ別体系になりました。「Google Play は15%か30%」と一言で説明している情報は、この日以降は不正確です。自分がどの地域で売るのかを決めてから料率を見てください。

3. 日本は「スマホ新法」がすでに全面施行されている

日本では、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(スマホソフトウェア競争促進法)が2025年12月18日に全面施行されました。公正取引委員会は2025年3月に、Apple Inc.、iTunes株式会社、Google LLC を規制対象事業者として指定しています。

そして2026年7月27日には、この法律に基づく各社の遵守報告書が公正取引委員会から公表されました(対象期間は2025年12月18日〜2026年3月31日)。公取委は「公表内容は指定事業者の見解であり、公取委の見解ではない」と明記しています。

ここで注意したいのは、制度が動いたことと、実際の手数料条件が確定していることは別だという点です。日本で外部決済を使ったときにストア側がいくら取るのかは、各社の条件を個別に確認する必要があります。この記事では確認できた事実だけを書き、推測は書きません。

手取りを実際に計算してみる

月額1,000円のサブスクを100人に売った場合(月商10万円)で並べます。

経路 手数料 手元に残る額(月)
App Store(Small Business 15%) 15,000円 85,000円
App Store(標準30%) 30,000円 70,000円
Google Play(日本・サブスク15%) 15,000円 85,000円
Stripe(3.6%) 3,600円 96,400円

Stripe が月11,400円ほど有利に見えます。年間にすると約13万7千円の差です。

それでも、この差だけで Web決済を選ぶのは早すぎます。 上の表に入っていないコストがあるからです。

「手数料が安い方」を選ぶと損することがある

ストア決済に払っている30%や15%は、単なる通行料ではありません。次のものが含まれています。

  • 請求と再請求:カード期限切れ・残高不足時のリトライをストアが行う
  • 解約導線:ユーザーが自分で解約でき、問い合わせが来ない
  • 領収書と返金対応:返金の一次窓口をストアが持つ
  • 決済の心理的ハードル:Face ID ひとつで買える体験

Web決済に切り替えると、これらは全部自分の仕事になります。とくにサブスクは「決済を通すこと」より「決済が失敗した後の回収」の方が重いので、ここを甘く見積もると、手数料で浮いた分が問い合わせ対応の時間で消えます。

判断の順番はこうです。

  1. 買い切りで単価が高いものほど Web決済の旨みが大きい(手数料の絶対額が効く)
  2. 月額サブスクで単価が低いものほどストア決済の運用代行が効く
  3. どちらとも言えないなら、まず売れるかを確かめる方が先で、手数料の最適化は後でよい

個人開発で最初に決めるべき順番

固定費と手数料を踏まえると、着手の順番は次のようになります。

  1. Web で出せるなら Web から出す — 初期費用0円で、審査もない。売れるかどうかの検証コストが最も低い
  2. 売れる確信が持てたらストアを検討する — この段階で初めて99 USD/25 USD が正当化される
  3. Apple と Google を同時に始めない — 審査対応・本人確認・規約差分が同時に来ると個人では持たない
  4. 年99 USD を「固定費」として収支に入れる — 月換算で約1,200円。これを回収できない企画は、そもそも作らない判断もある

この順番は、Webアプリスマホアプリのどちらが向いているかという判断とセットで考えると失敗しにくくなります。詳しくはWebアプリとスマホアプリはどっちが稼げる?を参照してください。

アプリの手数料に関するよくある質問

Q. Apple Developer Program は毎年払う必要がありますか?

A. はい、年99 USD の更新制です。更新しないと配信中のアプリがストアから外れます。Google Play の25 USD が一回払いなのと対照的なので、混同しないでください。

Q. 個人開発者でも15%になりますか?

A. Small Business Program に登録すれば15%です。条件は前暦年の収益100万USD以下で、新規参入の開発者も対象なので、実質的にほとんどの個人開発者が該当します。ただし自動で適用されるわけではなく、登録が必要です。

Q. Google Play の手数料は結局いくらですか?

A. 売る地域で違います。日本を含む多くの市場では最初の年間100万USDまで15%、超過分30%、サブスクは15%です。EEA・英国・米国は2026年6月30日から「10%または20% + 課金手数料5%」の体系に変わりました。

Q. アプリ内課金を使わずに自社サイトで決済できますか?

A. 米国ストアフロントについては、App Review Guidelines 3.1.1(a) が外部リンクにエンタイトルメント不要と明記しています。日本ではスマホソフトウェア競争促進法が2025年12月18日に全面施行済みです。ただし実際にどの条件で使えるかは各ストアの規約と地域で変わるため、必ず公式の最新版を確認してください。

Q. Web決済の3.6%が一番得ではないのですか?

A. 手数料率だけならそうです。ただし請求リトライ、解約導線、返金対応、領収書発行は自分で作ることになります。月商10万円規模だと差は月1万円ほどで、運用の手間がそれを上回ることは珍しくありません

Q. どのくらいの規模から手数料の最適化を考えるべきですか?

A. 手数料15%と3.6%の差が、月あたりの運用工数に見合うかで判断します。月商10万円なら差は約1.1万円で、これは月に数時間の問い合わせ対応で消える額です。月商が数十万円を超えてから考えても遅くありません。

まとめ

  • 固定費:Apple は年99 USD の更新制、Google は25 USD の一回払い、Web は0円
  • 手数料:Apple は30%/小規模15%。Google Play は地域で体系が分裂(日本は15%・30%、EEA/英国/米国は2026年6月30日から10%または20%+5%)
  • 2026年の変化:米国は外部リンクにエンタイトルメント不要、日本はスマホ新法が全面施行済み
  • 判断:手数料率だけで決めない。ストア決済に含まれる請求・解約・返金の運用代行を金額に換算して比べる

料金と規約はこの分野で最も変わりやすい情報です。この記事は2026年8月時点で公式ドキュメントを確認して書いていますが、実際に契約する前には必ず下記の一次情報を見てください

参考リンク

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