フレームワーク ソフトウェア 公開日 2026.05.15 更新日 2026.05.15

Vercelってどこの会社が作ってる?創業から現在までの歴史をわかりやすく整理

Vercelを作っている会社の正体、創業者Guillermo Rauch氏の経歴、ZEIT時代からVercelへのリブランド、Next.jsの誕生、資金調達、AI時代への展開までの歴史を初心者向けに整理します。

先に要点

  • Vercel を作っているのは Vercel Inc.、米国サンフランシスコに本社を置くスタートアップです。
  • 創業者は Guillermo Rauch(ギジェルモ・ラウチ)。2015年に ZEIT という社名で立ち上げ、2020年に Vercel へリブランドしました。
  • 2016年に Next.js公開し、これが世界的に普及したことが Vercel の成長を支えています。
  • 2020年代に入ってからは、複数回の大型資金調達、Edge Network 強化、v0 や AI SDK といった AI プロダクト投入で `AI時代のフロントエンド基盤` の地位を固めつつあります。

Vercelって聞くけど、そもそもどこの会社? Next.jsとVercelって同じ会社? 急に流行ったように見えるけど、いつからある会社?

Vercelは2020年代に急速に名前を聞くようになったため、新興サービス というイメージを持たれがちですが、実は10年以上の歴史があります。 Next.jsの普及、AIブーム、フロントエンド開発のクラウド化という3つの波に乗って、ここ数年で 知名度の階段を一気に駆け上がった というのが実態に近いです。

この記事では、2026年5月時点の公開情報をもとに、Vercel社の 会社プロフィール、創業者、歴史、資金調達、現在の方向性 を初心者向けに整理します。 Vercel そのものの基本は Vercelとは?何ができる?Next.jsとの相性・向いている案件・注意点を解説、流行の背景は Vercelが流行っている理由は?AIの影響もあるのか実務目線で整理 もあわせて読むとつながりやすいです。

この記事は2026年5月時点で公開されている公式ブログ、メディア記事、登記情報をもとに整理しています。創業エピソードや資金調達の詳細は時期によって解釈差があるため、本気で投資判断やビジネス契約に使う場合は、Vercel公式ブログや一次情報の最新版を直接確認してください。

まず会社プロフィール

項目 内容
社名 Vercel Inc.
旧社名 ZEIT, Inc.(2015〜2020)
本社所在地 米国 カリフォルニア州 サンフランシスコ
創業 2015年
創業者 / CEO Guillermo Rauch(ギジェルモ・ラウチ)
主要プロダクト Vercel Platform、Next.js、v0、AI SDK
従業員規模 数百人(リモート中心、世界各地)

Vercel(ヴァーセル)という社名は、Versatile(多用途)Excellent(優秀) を組み合わせた造語と説明されることが多いですが、公式の正確な由来としては versatile(汎用的・多目的)に由来する、と Guillermo Rauch 自身が語っています。


創業者:Guillermo Rauch とは

アルゼンチン出身、独学のエンジニア

Guillermo Rauch はアルゼンチン出身。10代の頃から独学でプログラミングを学び、若くして OSS コミュニティで頭角を現しました。

特に有名なのが、リアルタイム通信ライブラリ Socket.IO の開発です。 Node.js のリアルタイム通信を一気に普及させたライブラリで、いまでも多くのチャットアプリ、ゲーム、コラボレーションツールの裏で動いています。

LearnBoost、Cloudup での経験

ZEIT(後の Vercel)を立ち上げる前、Rauch は教育系スタートアップ LearnBoost を共同創業し、その後 Automattic(WordPress.comの運営会社)に買収された Cloudup でも CTO を務めました。

大規模な OSS の運用スタートアップを経営する経験 を10代〜20代で積んでいたことが、後の Vercel/Next.js のエコシステム作りにつながっています。

開発者体験を一段引き上げる というビジョン

Rauch の発言や Vercel の公式ブログでは、Frontend Cloud Developer Experience(DX) という言葉が繰り返し出てきます。 サーバーやインフラの設定で時間を取られず、フロントエンドエンジニアが本来やりたいこと(プロダクトを作ること)に集中できる環境を作る、というのが一貫した方針です。


ZEIT時代(2015〜2020):すべての始まり

2015年:ZEIT 創業

最初の社名は ZEIT(ドイツ語で 時間)。 創業当初の代表的なプロダクトは Now という名前のデプロイサービスで、コマンド1つでアプリをデプロイする というシンプルさが特徴でした。

now コマンドでアップすればURLが返ってくる、という体験は当時かなり画期的で、デプロイ体験のあり方 を一段引き上げました。

2016年:Next.js公開

ZEIT は同年、Next.js を OSS として公開します。 当時は React 単体で SSR(サーバーサイドレンダリング)を実現するのが難しく、Reactでフルスタックに書けるフレームワーク の需要が高まっていたタイミングでした。

Next.jsファイルベースルーティングSSR / SSG の標準対応データ取得の規約 を持ち込み、急速に React 界の標準フレームワークになっていきます。

Vercel(ZEIT)が Next.js を作っている という関係はここで始まりました。 Next.js は OSS として誰でも使えますが、開発元が運営するクラウド = Vercel という関係が、後のエコシステム構築の基盤になっています。

2017〜2019年:プロダクトと組織の拡大

この時期は、Now の機能拡張、Next.js のバージョンアップ、エンタープライズ向けプランの整備、海外メンバーの拡充が進みました。 React コミュニティで著名なエンジニアを次々に採用し、OSS とビジネスの両輪 で名前を広げていきます。


2020年:Vercel への大改名

なぜ社名を変えたのか

2020年4月、ZEIT は Vercel へリブランドしました。 公式ブログでの説明をざっくり言うと、Now というプロダクト名と、ZEIT という社名がユーザーの中で混乱していた 提供価値の中心が <strong>フロントエンド開発者向けのクラウド</strong> へ進化した ということを明確にしたかった、という理由です。

このタイミングで:

  • 社名:ZEIT → Vercel
  • 主要プロダクト名:Now → Vercel Platform
  • ロゴ:黒い三角形()を継承

という整理が行われました。

Series A 調達(2020年4月)

リブランドと同時に Accel をリードに約 2,100万ドル の Series A 調達を発表(公開情報ベース)。 ここから スタートアップとしての本格スケール フェーズに入ります。


2021〜2022年:成長と大型調達

Series B(2021年)

2021年6月、Bedrock Capital や GV(Google Ventures)などから 約4,000万ドル規模の Series B を調達。 評価額は当時で 約11億ドル(ユニコーン入り)と報じられました。

Series C(2021年)

同2021年11月には Bedrock Capital のリードで 約1.5億ドルの Series C を実施し、評価額 25億ドル超。 コロナ禍によるWeb開発のオンライン化、Jamstackブーム、Next.js の急成長が背景にあったとされます。

Series D(2024年)

2024年5月には 約2.5億ドルの Series D を Accel のリードで調達(公開報道ベース)。 評価額は 約32億ドル超で、AIインフラとしてのVercel を強化するフェーズに入りました。

注:資金調達ラウンドの正式な金額や評価額は各社公開情報や報道ベースで微妙に表記が異なります。本記事では大まかな桁感を整理する目的で記載しています。詳細は TechCrunch、Reuters、Bloomberg などの一次報道や、Vercel Newsroom の公式発表で確認するのが安全です。


2023〜2024年:AI時代への舵切り

v0 の登場

2023年、Vercel は v0 を発表しました。 自然言語からReact / Next.jsのUIコードを生成する AI プロダクトで、AIで書いた → そのままVercelへデプロイ の流れを Vercel 上で完結させる戦略の中心です。

AI SDK の整備

同時期、AI SDK も急速に整備されます。OpenAIAnthropic、Google の各 LLM を統一インターフェースで扱える Node.js / Next.js 向けライブラリで、AIアプリのデファクト の座を狙う位置づけです。

Frontend Cloud / AI Cloud の打ち出し

公式ブログやカンファレンス(Vercel Ship、Next.js Conf)では、Frontend Cloud から AI Cloud へとメッセージが広がっていきます。 フロント配信プラットフォーム だけではなく、AIアプリの基盤として最適化された統合スタック を提供する、という方向性が打ち出されました。

このあたりの背景は Vercelが流行っている理由は?AIの影響もあるのか実務目線で整理 でも整理しています。


2025〜2026年:現在地

2026年時点での Vercel は、おおむね次の状況にあります。

  • フロントエンドデプロイ基盤としては事実上のデファクトの一角
  • Next.js は React 界の標準フレームワークとしての地位を維持
  • v0 と AI SDK が AIで作る個人開発・スタートアップ の出口として広く使われる
  • エンタープライズ向け契約も拡大中
  • IPO(株式公開)時期は公式に明言なし、観測筋からは 数年内の有力候補 という見方もあり

まだ非上場の高評価額スタートアップ という立ち位置を保ちつつ、AI時代のフロントエンド基盤 として競合(Cloudflare、Netlify、AWS Amplifyなど)との差別化を進めているフェーズです。


マイルストーン年表

ここまでをまとめた年表です。

出来事
2015 ZEIT 創業(Guillermo Rauch ら)
2016 Next.js 公開
2017〜2019 Now、Next.js を中心に成長、組織拡大
2020-04 Vercel へリブランド、Series A(約2,100万ドル)
2021-06 Series B(約4,000万ドル)、ユニコーン入り
2021-11 Series C(約1.5億ドル)、評価額25億ドル超
2023 v0 発表、AI SDK 強化、Edge Network 拡張
2024-05 Series D(約2.5億ドル)、評価額32億ドル超
2025〜 AI Cloud 戦略の本格化、エンタープライズ拡大

Next.jsの普及 → クラウド需要の拡大 → AIブームへの接続 という3つの波に綺麗に乗ってきた歴史と見ると、2020年代の急成長の構造が分かりやすいです。


ビジネスモデルざっくり

Vercel の収益はおおむね次の構造です。

  1. Hobby(無料):個人開発・学習用、商用利用不可。導線として広く配布。
  2. Pro($20/メンバー/月〜):商用利用、スタートアップの中心契約。
  3. Enterprise(個別見積):大企業向け、SLASSO、専用サポート、Federal対応。
  4. 従量課金:帯域、Functionの実行回数、画像最適化回数、AI SDK経由の追加機能など。

Hobbyで広く使ってもらい、Proでスタートアップを取り、Enterpriseで大型契約 という典型的なフリーミアム + エンタープライズ二段構成です。 プラン詳細は 初心者が知っておくべきVercelの基礎用語まとめ のプラン項でも触れています。


日本でのVercelの立ち位置

公式の日本法人については、明確な発表はあまりありませんが、コミュニティと採用面では存在感が増しています。

  • 日本人エンジニアの登壇者が Next.js Conf に出ている
  • 日本語のドキュメント整備が少しずつ進んでいる
  • スタートアップ、メディア企業、AI系ベンチャーで採用例が多い
  • 日本語対応のサポートはまだ限定的(主に英語)

日本支社が大々的にある というよりは、グローバル製品としてエンジニア個人〜法人にじわじわ広がっている 段階、と見るのが近いです。


こんな勘違いに注意

1. Vercelは Next.js しか動かない は誤解

Next.js への最適化は強いですが、Vercel は他のフレームワーク(Nuxt、SvelteKit、Astro、Remixなど)でも動きます。 ただし、ISRや画像最適化など Next.js だから素直に動く機能 も多いのは事実です。

2. Vercelは AI 専業会社 ではない

v0 や AI SDK は新しい看板ですが、ビジネスの土台はあくまで フロントエンドデプロイ基盤 です。 AIに振り切ったスタートアップというよりは、既存の強い基盤の上に AI レイヤーを足している 会社、と見る方が実態に近いです。

3. 急に流行った新興企業 ではない

2015年創業、2016年に Next.js 公開、2020年に Vercel リブランド、というタイムラインを見ると、10年以上かけてエコシステムを育ててきた 会社です。 名前を聞くようになったタイミングと、企業としての成熟度は必ずしも一致しません。

4. Vercel社員 = Next.jsコミッター ではない

Vercel社員に Next.js のコアコミッターは多いですが、Next.js は OSS で、外部コントリビューターも多数います。 Vercelが全部決めている というより、Vercelが大きなスポンサーとして開発を主導している という関係に近いです。

5. IPOしたら使いにくくなる とは限らない

将来 IPO の可能性は語られていますが、現時点(2026年5月)で公式発表はありません。 仮に IPO してもビジネスモデルが急変するとは限らず、事業継続性が高まる 側面もあります。


まとめ

Vercel は、米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く Vercel Inc.(旧 ZEIT, Inc.)が運営しています。

歴史をざっくりまとめると、

  1. 2015年 ZEIT 創業(創業者 Guillermo Rauch)
  2. 2016年 Next.js 公開フロントエンド界に深く食い込む
  3. 2020年 Vercel へリブランド、本格スケールフェーズ突入
  4. 2021〜2024年 大型資金調達、評価額数十億ドル規模へ
  5. 2023〜現在 AI Cloud 戦略、v0 / AI SDK で AI時代に対応

という流れです。

新興サービス ではなく、OSSとクラウドを長期で育ててきた会社が、AIブームで一気に表舞台に出てきた と捉えると、現在の人気の構造がかなり腑に落ちます。

採用判断としても、そこまで歴史があり、評価額も大きい会社が運営している ことを知っておくと、小さな新興スタートアップに依存するリスク とは別物として安心感を持って付き合えます。 一方で、Vercelに全部寄せると将来困るかもしれない というベンダーロックインの観点は、Vercelと他デプロイ基盤の違いは? も合わせて読みながら、案件ごとに冷静に判断するのが安全です。

Vercelの会社と歴史に関するよくある質問

Q. Vercel は上場企業ですか?

A. 2026年5月時点で非上場(プライベートカンパニー)です。複数の VC から大型資金調達を受けており、IPO の可能性は度々観測されますが、公式に時期を明言した発表はまだありません。

Q. Next.js は Vercel が作っているのですか?

A. はい、開発主導は Vercel(旧ZEIT)です。ただし Next.js は MIT ライセンスの OSS で、世界中の外部コントリビューターも多数参加しています。Vercel製の OSS をコミュニティと共に育てている という関係が正確です。

Q. Guillermo Rauch はどんな人ですか?

A. アルゼンチン出身の開発者で、Socket.IO の作者として有名。LearnBoost、Cloudup を経て ZEIT(現 Vercel)を共同創業し、現在も CEO を務めています。OSS と DX(開発者体験)に強くこだわる発言で知られています。

Q. ZEIT という旧社名はなぜ変わった?

A. 公式の説明としては、プロダクト名 Now と社名 ZEIT で混乱が生じていた提供価値の中心がフロントエンド向けクラウドへ進化した ことを明確にするため、というのが主な理由です。2020年4月に Vercel へリブランドしました。

Q. Vercel は黒字ですか?

A. 非上場のため公式の財務開示はありません。報道ベースでは 売上は急成長、まだ投資先行 という典型的なスケーリング期スタートアップの構図、と語られることが多いです。

Q. 日本支社はありますか?

A. 2026年5月時点で大規模な日本法人の発表は限定的です。日本語ドキュメントや日本企業の採用事例は増えており、コミュニティ活動も活発ですが、サポート窓口は基本的に英語(グローバル拠点)経由です。

Q. 競合はどこですか?

A. 直接の競合は Netlify、Cloudflare Pages、AWS Amplify が中心。フルスタック寄りでは Render / Fly.io / Railway も同じ市場の一部を取り合う関係。詳しくは Vercelと他デプロイ基盤の違いは? で整理しています。


参考リンク

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