先に要点
- 広告インテントは自動広告の一部です。本文の語句をリンクに変え、ページ下部にアンカーを出し、段落の末尾にチップを置きます。
- 読者がそれを押すとページの中でダイアログが開き、Gemini が生成した文章と広告が表示されます。サイトからは離れません。
- 収益が発生するのはダイアログの中の広告がクリックされたときだけです。リンクが出ているだけでは発生しません。
- オプトインで、リンク・アンカー・チップは個別に外せます。
google-anno-skipクラスを使えば、ページの一部だけ除外することもできます。
AdSense の「最適化案」に、広告インテントで収益を拡大するというカードが出ることがあります。効果として「ディスプレイでの収益に影響を与えずに収益を増やすことができます」「コンパクトなデザインで、ページ上で使うスペースを最小限に抑えます」「サードパーティ Cookie とパーソナライズなしで機能します」の3つが並び、その下に「すべてのサイトで有効化」のボタンが置かれています。
良い面しか書かれていないので、何と引き換えなのかがこのカードだけでは分かりません。この記事では、広告インテントが実際に何をするフォーマットなのか、有効にする前に何を確認しておけばよいのかを、公式ヘルプの記載をもとに整理します。内容は2026年9月20日に確認したものです。
広告インテントの3つの出方
広告インテントは、Google の言い方では「インテント重視のフォーマット」です。ページの中に3種類の入口を作ります。
| 出方 | どこに出るか | 読者から見た形 |
|---|---|---|
| リンク | 本文の中。タイトル・見出し・説明文には出ない | 本文のテキストがそのままリンクになる |
| アンカー | ページの下部 | スクロールすると下に現れる帯。関連しそうな語句が並ぶ |
| チップ | 段落の末尾 | 段落の終わりに置かれる小さなボタン |
対象になるのは「商用向けの十分なテキストコンテンツを含むページ」で、Google がコンテンツとの関連性が十分にあると判断した場合にだけ表示されると説明されています。リンクの本数についても、ページの単語数に応じて制限すること、同じようなリンクが近くに重複しないようにすることが書かれています。
⚠️ 前提として、自動広告がオンになっている必要があります。広告インテントは、サイトごとの自動広告の設定画面にある「インテント重視のフォーマット」の一項目です。
押すと何が起きるか
リンク・アンカー・チップのどれを押しても、ページの中にダイアログが開きます。中身は、押された語句に関連する内容と広告です。ここに Gemini が生成した文章が入るようになったことが、2026年の大きな変更点です。
読者が別のサイトへ飛ばされるわけではありません。ダイアログを閉じれば元のページに戻ります。ページから離脱させる形の広告とは、ここがはっきり違います。
ただし裏を返すと、自分のページの上に、自分が書いていない文章が載るということでもあります。その中身を事前に確認したり、差し替えたりする手段は案内されていません。技術記事のように正確さが売りのサイトでは、ここをどう考えるかが判断の分かれ目になります。
収益はどう発生するか
ここが、ディスプレイ広告と一番違うところです。
クリックが2回必要
流れは「本文のリンクを押す」「開いたダイアログの中の広告を押す」の2段階です。収益が発生するのは2回目のクリックのときだけで、リンクが表示された、押された、という段階では発生しません。
インプレッションで少しずつ積み上がるディスプレイ広告とは、収益の積み上がり方が違います。表示回数が多くてもクリックの少ないサイトでは、効果が出にくいと考えておくのが自然です。
分配率が分からない部分がある
Google は、ダイアログの中のディスプレイ広告がクリックされた場合はコンテンツ向け AdSense の収益分配率が適用される、と書いています。コンテンツ向け AdSense については、広告プラットフォームの手数料を引いた金額の 80%、広告主が Google 広告を使って購入した場合は収益の約 68% がサイト運営者に支払われる、と公開されています。
一方で、ダイアログには検索広告が表示されることもあります。Google はすべての AdSense サービスの収益分配率を公開しているわけではなく、分配率はサービスに応じて異なると明記しています。つまり検索広告が表示されたときの取り分は、公開情報からは分かりません。「増える」ことは分かっても、「いくらの割合で増えるのか」は事前に計算できない、と理解しておくべき部分です。
ダイアログに出す広告の種類を選べる
2026年に、ダイアログに表示する広告の種類を選ぶオプションが追加されました。ディスプレイ広告だけを表示する、検索広告が使えないときのバックアップとしてディスプレイ広告を使う、といった指定ができます。すでに広告インテントを使っているサイトは、オーガニック検索結果とともに検索広告を表示する設定のままになっています。
メリット
- 既存の広告枠を減らさない。公式ヘルプに、既存の広告には影響しないと書かれています
- ページの場所をほとんど取らない。使うのは本文のテキストとページの下部です
- サードパーティ Cookie とパーソナライズに依存しない
- オプトインで、いつでも外せる。設定はサイト単位です
- リンク・アンカー・チップを個別に外せる
- 有効と無効を比べるテストを実施できる。公式 FAQ に、広告インテントの有効・無効でテストを実施できると書かれています
広告を1種類増やすとき、普通は「枠が増える」「ページが重くなる」という代償があります。広告インテントで代償になるのは枠ではなく本文そのものです。そこを許せるかどうかが判断の中心になります。
デメリット
| 気になる点 | 中身 |
|---|---|
| 本文の語句が広告リンクになる | 読者から見ると、運営者が貼った参考リンクと区別が付きにくい。製品名がリンクになると、筆者が薦めていると読まれることがある |
| ダイアログの中身を管理できない | Gemini が生成した文章が、自分のページの上に表示される |
| 収益がクリック2回に依存する | 表示や1回目のクリックでは発生しない |
| 分配率が公開されていない部分がある | 検索広告が表示されたときの取り分は、公開情報から計算できない |
| ディスプレイ収益への影響は自分で測るしかない | 影響しないというのは Google の説明であって、個々のサイトでの保証ではない |
| 一括で有効化するボタンがある | 最適化案のカードにある「すべてのサイトで有効化」は、アカウント内のサイトにまとめて適用される |
| AdSense を使ううえでの義務は変わらない | サードパーティ Cookie を使わないことと、EU ユーザーの同意ポリシーやプライバシーポリシーの必須記載が免除されることは別の話。免除されるという記載はない |
信頼を売りにしているサイトや、会社の名前が付いているサイトでは、1つ目が一番重くなります。リンクだけ外してアンカーとチップにするという選び方ができるので、本文に手が入るのが気になるなら、そこが落としどころになります。
プライバシーポリシーに何を書く必要があるかはAdSenseのプライバシーポリシーに必ず書く5項目にまとめました。広告インテントを入れる前に、そちらが満たせているかを先に確認しておくと安全です。
有効にする手順と、外し方
外したくなったときは、同じ画面で広告インテントのチェックを外します。サイト単位の設定なので、他のサイトには影響しません。
ページの一部だけ出したくない場合は、HTML 側で除外できます。google-anno-skip クラスを付けた要素の中には、広告インテントは表示されません。body タグに付ければ、そのページ全体で表示されなくなります。引用部分や注意書きなど、広告リンクになってほしくない場所がある場合に使えます。
有効にしようとすると止められることがある
「すべてのサイトで有効化」を押したときに、実施中の自動広告テストと競合しているという確認が表示されて、そのままでは進めないことがあります。ダイアログには競合しているテストの名前が並び、テストを停止して広告インテントを適用するか、キャンセルするかを選ぶ形になります。
自動最適化をオンにしていると、Google が自動でテストを作ります。そのテストが自動広告の設定を触っているため、広告インテントの設定とぶつかります。そのテストを止めてよいかどうかは、テストがどこまで進んでいるかで変わります。判断の材料はAdSenseの自動最適化テストは止めていい?に分けて書きました。
効果をどう見るか
広告インテント単独の収益を見て判断しないのが、一番のポイントです。その数字はほぼ確実にプラスになります。ディスプレイ広告のクリックが広告インテントへ移動しただけでも、広告インテントの収益は増えるからです。
見るのはサイト全体の RPMです。前後で比べるときは、次の点に注意します。
- 有効にした日付を記録しておく
- 同じ長さの期間で比べる(直近28日と、その前の28日など)
- 同じ時期に記事の公開ペースや広告の配置を変えない
- 表示回数が少ないサイトでは、差がノイズに埋もれることを承知しておく
もっと確実なのは、AdSense のテスト機能で有効と無効を分けて比べることです。テストはトラフィックを2つに分けて同じ期間で比較するので、季節や曜日の影響を受けにくくなります。公式 FAQ にも、広告インテントの有効・無効でテストを実施できると書かれています。
広告インテントに関するよくある質問
読者はサイトから離れてしまいますか
離れません。ダイアログはページの中で開き、閉じると元のページに戻ります。
自分が貼ったリンクが置き換えられますか
置き換えられません。広告インテントのリンクは、本文の中の既存のテキストから生成されます。タイトル・見出し・説明文には表示されません。
検索順位に影響しますか
公式ヘルプに、検索への影響を示す記載はありません。断定できる材料がないので、気になる場合は google-anno-skip で表示範囲を絞るか、有効にした日付を記録して検索の表示回数の推移を見るのが現実的です。
一部のページだけ外せますか
外せます。google-anno-skip クラスを付けた要素の中には表示されません。body タグに付ければ、そのページ全体で表示されなくなります。
やめたくなったらどうしますか
自動広告の設定画面で、インテント重視のフォーマットの広告インテントのチェックを外します。サイト単位で設定できるので、サイトごとに入れる入れないを分けられます。
まとめ
- 広告インテントは、本文の語句・ページ下部・段落の末尾を使って、広告への入口を増やす自動広告のフォーマット
- 押すとページの中でダイアログが開き、Gemini の生成文と広告が出る
- 収益はダイアログの中の広告がクリックされたときだけ。分配率は一部が非公開
- 判断で効くのは本文が広告リンクになることとダイアログの中身を管理できないこと
- 効果はサイト全体の RPM で見る。テスト機能を使えば有効と無効を分けて比べられる