先に要点
- Better Authは、認証を外部サービスに預けず、自分のコードとデータベースの中に実装するための、TypeScript 製の認証フレームワークです。フレームワーク非依存で、MITライセンスの無料OSSです。
- メール・パスワード認証やソーシャルログイン、レート制限・CSRF対策が本体に入り、2要素認証・パスキー・組織(マルチテナント)・SSOは公式プラグインで足せるのが強み。自前でも“作り込みすぎず”に堅い認証を持てます。
- 大きな動きが2つあります。2025年9月に Auth.js(旧NextAuth)が Better Auth チームの管理下に入り、新規プロジェクトは Better Auth で始めるよう案内されました。さらに2026年7月7日、Vercel が Better Auth の買収を発表しました。ライブラリの名前とMITライセンスは変わらないとされています。
- Clerk との違いは「持ち方」。Clerkはデータを預けるマネージド、Better Authはデータを自分で持つ自前。ロックインを避けたい・コストを抑えたいならBetter Authが向きます。
- 「UI込みで速く済ませたいならClerk、データ主権と無料を取りたいならBetter Auth」が大まかな選び分けです。
認証は自前で持ちたい。でも一から作るのは怖い ── そのニーズに応えるのが Better Auth です。データを自分で持ちつつ、堅い認証を最小限のコードで用意できます。近年、認証の話題で急速に存在感を増しているライブラリです。
この記事では、Better Authが何者で、何がうれしいのか、Auth.js(旧NextAuth)との関係、そしてClerkとの違いを整理します。
Better Authとは(自前で持つ認証)
Better Authは、認証と認可を、自分のバックエンドとデータベースの中に実装するためのフレームワークです。Clerkのようなマネージドサービスにユーザーデータを預けるのではなく、認証の仕組みもデータも自分の側に置く(self-hosted)のが基本の考え方です。
特定のフレームワークに縛られないフレームワーク非依存な設計で、Next.js はもちろん、他の環境でも使えます。MITライセンスの無料で、ライブラリ自体はユーザー数や機能で課金されません。なお公式は、自前の Better Auth につないで使う管理画面・監査ログ・不正検知などのホスト型サービス(無料プランと有料プランあり)も提供していますが、使うかどうかは任意です。
何がうれしいのか
機能が最初から揃う
2要素認証・パスキー・組織・SSOなど、実務で要る機能が公式プラグインで用意されている。自前でも作り込みすぎずに済む。
データを自分で持つ
ユーザーデータが自分のDBに残る。ベンダーロックインを避けられ、移行や監査もしやすい。
型安全・DXが良い
TypeScriptで型安全に扱え、ドキュメントも分かりやすい。セットアップが速いと評判。
Auth.js(旧NextAuth)との関係
認証を自前で持つ定番は、長年 Auth.js(旧NextAuth) でした。ここに大きな変化がありました。
2026年10月時点の認証ライブラリ事情
- Auth.js(旧NextAuth)は、2025年9月から Better Auth チームが管理・監督する体制になりました。既存の利用者向けに、セキュリティ修正と緊急の問題への対応は続けると発表されています。
- そのうえで、新規プロジェクトは Better Auth から始めることが強く推奨されています(特別な理由がなければ)。
- 発表の時点では、データベースを使わないステートレスなセッションが Auth.js を選ぶ例外として挙げられていました。現在は Better Auth にも、データベースの設定を省くと署名・暗号化したクッキーにセッションを持つステートレスモードがあります。
- 2026年7月7日、Vercel が Better Auth を買収し、中心の開発者が Vercel に加わると発表しました。Vercel は、名前・MITライセンス・フレームワーク非依存・オープンな開発体制を維持するとしています。
「自前で無料の認証」を選ぶなら、まずBetter Authを軸に検討し、Auth.js固有の強みが要る場合にそちらも比較する、というのが今の流れです。
Clerkとの違い(自前 vs マネージド)
もう一つよく比較されるのが、マネージド認証の Clerk です。両者は「データの持ち方」が根本的に違います。
| 観点 | Better Auth | Clerk |
|---|---|---|
| 持ち方 | 自前(自分のDB) | マネージド(Clerk側) |
| UI | 基本は自分で用意 | 用意済み(置くだけ) |
| コスト | 無料(MIT) | 無料枠+従量課金 |
| ロックイン | 避けやすい | データはClerkに依存 |
| 速さ | そこそこ速い | 最速で立ち上がる |
Better Authが向く / Clerkが向く
Better Authが向く
データを自分で持ち、費用を抑えたい。
- ユーザーデータを自分のDBに置きたい
- ベンダーロックインを避けたい
- 規模が大きく従量課金を避けたい
- 型安全に自前で作り込みたい
こんな人向けデータ主権・長期コストを重視するプロダクト
Clerkが向く
UIごと素早く済ませたい。
- サインインUIを作りたくない
- MVP・デモを最速で立ち上げたい
- 運用の手間を極力減らしたい
- 小〜中規模で無料枠に収まる
こんな人向け時間を買いたいスタートアップ・個人開発
Better Authに関するよくある質問
Better AuthとClerkはどちらがいいですか?
データを自分で持ちたい・無料で使いたいならBetter Auth、UI込みで最速に済ませたいならClerkです。ロックインや長期コストを気にするならBetter Auth、時間を買いたいならClerk、という選び分けになります。
Auth.js(NextAuth)から乗り換えるべきですか?
新規ならBetter Authが推奨される流れです。既存のAuth.jsが問題なく動いているなら急いで乗り換える必要はありませんが、Auth.jsはBetter Authチームの管理下に入ったため、今後の選択はBetter Authを軸に考えるのが自然です。
Better Authは無料ですか?
はい。ライブラリはMITライセンスの無料OSSで、ユーザー数や機能で課金されることはありません。Vercel による買収後も MIT のままとされています。公式のホスト型サービス(管理画面・監査ログ・不正検知など)は任意の追加です。自前で運用する分のサーバー・DBのコストはかかりますが、認証ライブラリ自体は無料です。
どんな機能が最初からありますか?
メール・パスワード認証、ソーシャルログイン、セッション管理、レート制限、CSRF対策が本体にあり、2要素認証・パスキー・組織(マルチテナント)・SSOなどは公式プラグインで足せます。公式サイトでは50以上のプラグインが紹介されており、自前でも堅い認証を短時間で用意できます。
初心者でも使えますか?
TypeScriptの基本が分かれば使いやすい方です。ドキュメントが分かりやすく、セットアップが速いと評判で、自前認証の中では入りやすい部類です。とはいえ認証はセキュリティの要なので、公式に沿って慎重に進めます。
まとめ
Better Authは、認証を自分のコードとDBの中に持つ、TypeScript製のフレームワーク非依存な認証フレームワークです。レート制限などの安全策が本体に、2要素認証・パスキー・組織・SSOが公式プラグインに揃い、MITライセンスで無料。長年定番だったAuth.js(旧NextAuth)がBetter Authチームの管理下に入り、新規はBetter Authが推奨される流れになり、2026年7月には Vercel による買収も発表されました。Clerkとの違いは「データの持ち方」で、自前で主権とコストを取るならBetter Auth、UI込みで速さを取るならClerkが目安です。