サーバー ネットワーク 公開日 2026.04.05 更新日 2026.10.23

グローバルIPとプライベートIPの違いは?家庭用ルーターの動きとNATを初心者向けに解説

グローバルIPとプライベートIPの違いを、家庭用ルーター、NAT、家の中と外からの見え方まで初心者向けに整理した記事です。

目次(29項目)

先に要点

  • グローバルIP はインターネット側から見える住所、プライベートIP は家庭や社内の中だけで使う住所です。
  • 家庭用ルーターは、家の中の端末へプライベートIPを配り、外へ出るときに NAT でグローバルIPへまとめて変換することが多いです。
  • 自分の端末のIPは ipconfig や ip addr、外から見えるIPは curl -4 ifconfig.me で確認できます。IPv6 が使える回線では -4 を付けないと IPv6 アドレスが返ることがあります。
  • ルーターの外側に 100.64.x.x などが付いている場合は、プロバイダー側でもう一段 NAT されています(CGNAT)。この状態ではポート開放だけでは外からつながりません。

グローバルIPとプライベートIPの違いは、インターネット全体で通用する住所か、家や社内の中だけで通用する住所か です。家庭の PC やスマホに 192.168.x.x が付いているのに外からは回線ひとつにしか見えないのは、ルーターが NAT で両者を変換しているからです。

この記事では定義に加えて、自分の2つのIPを実際に確認する方法と出力の読み方、ルーターの外側もグローバルIPではない(CGNAT・IPv4共有)回線の見分け方、ポート開放やVPNで詰まる理由までを整理します。2026年10月18日時点で RFC 1918・RFC 6598・RFC 4193 と、AWS・Cloudflare の公式解説を確認しています。

ルーターそのものの役割から押さえたい場合は ルーターとスイッチの違いは?役割・できること・社内ネットワークでの使い分けを解説、/24 のような表記が分からない場合は CIDR表記とは?/24の読み方とサブネットマスクの関係を実務目線で を先に読むと入りやすいです。

まず一言でいうと何が違うのか

一番短く言うと、違いはこうです。

家庭の Wi-Fi にぶら下がっている PC やスマホには、たいていプライベートIPが付きます。
一方で、その家の回線が外へ出るときは、ルーターが代表してグローバルIPを使います。

家の中(プライベートIP) インターネット側 PC 192.168.x.x スマホ 192.168.x.x ゲーム機 192.168.x.x ルーター NAT グローバルIP 家全体で1つ 外へ出るとき送信元をグローバルIPへ変換 返ってきた通信は元の端末へ戻す

つまり、家の中では機器ごとに別の住所を使い、外へ出るときはひとつの外向け住所にまとめる というイメージです。
ここで効いているのが NAT です。

プライベートIPはどこで使われるのか

プライベートIP は、家庭内ネットワークや社内ネットワークのように、閉じた場所で使うための IP アドレスです。
RFC 1918 では、IPv4 のプライベートアドレス空間として3つの範囲が定義されています。実機を触ると必ず出てくる特別な範囲もあわせて並べると、次のようになります。

種類 範囲(CIDR) どこで見るか
プライベート(家庭) 192.168.0.0/16 家庭用ルーター配下のPC・スマホ、小規模オフィス
プライベート(中〜大規模) 172.16.0.0/12 社内ネットワーク、VPN、Docker の既定ネットワーク
プライベート(大規模・クラウド) 10.0.0.0/8 AWS VPC、企業ネットワーク
共有アドレス(CGNAT用) 100.64.0.0/10 プロバイダーやモバイル回線が、ルーターの外側に割り当てる(RFC 6598)
ループバック 127.0.0.0/8 自分自身(127.0.0.1=localhost)
リンクローカル 169.254.0.0/16 DHCPに失敗した端末が自動で付ける値
グローバル 上記以外の公開アドレス ルーター外側、VPS、サーバー公開時

家庭で 192.168.1.10 や 192.168.0.5 のようなアドレスが見えるのは、ここに入っているからです。DHCP を使って、ルーターが各端末へ自動で配る構成が一般的です。172.16.0.0/12 は 172.16.x.x から 172.31.x.x までで、172.32.x.x 以降は範囲外(グローバル)なので、境目を読み違えないようにしてください。

プライベートIPはインターネット全体で一意ではない

プライベートIPは そのままではインターネット全体で一意ではない 住所です。別の家庭でも同じ 192.168.1.10 を普通に使えます。だからこそ家の中だけで完結する住所として便利で、逆に VPN で2つの拠点をつなぐと同じ範囲どうしがぶつかることがあります。

グローバルIPはどこで使われるのか

グローバルIP は、インターネット側で見える住所です。
外部の Web サイトへアクセスするときも、外へ公開したサーバーへアクセスしてもらうときも、この外向けの住所が関わります。

家庭回線では、多くの場合、回線終端装置や家庭用ルーターの外側にグローバルIPが付きます。家の中に PC やスマホが何台あっても、外から見ると その家の回線 としてひとつのグローバルIPで見えます。ただし後で説明するとおり、回線の方式によってはルーターの外側にもグローバルIPが付かないことがあります。

サーバー公開やリモート接続で詰まりやすいところ

自分の PC が持っているプライベートIPを見て これを相手に伝えれば外からつながる と思ってしまうと、まずうまくいきません。外部から見えるのは基本的にグローバルIP側だからです。

家庭用ルーターの中では何が起きているのか

家庭用ルーターを通る流れをざっくり書くと、こんなイメージです。

家庭用ルーターを通る流れ
  1. 1

    家の中

    PC やスマホは、家の中でプライベートIPを持つ

  2. 2

    ルーターへ

    外の Web サイトへアクセスするとき、通信はルーターへ行く

  3. 3

    NAT で変換

    ルーターが NAT で送信元をグローバルIPへ変換する

  4. 4

    元の端末へ

    返ってきた通信を、元の端末へ戻す

ルーターは、変換するときに どの端末のどのポートから出た通信か を表(変換テーブル)に覚えておき、返ってきた通信をその表で元の端末へ戻します。このおかげで、PC、スマホ、ゲーム機、テレビが同時にインターネットへ出られます。

家の中

PC やスマホは プライベートIP で動く。家庭用ルーターが DHCP で配ることが多い。

境目

ルーター が NAT を使って、内側のアドレスを外向けのアドレスへ変換する。

外側

インターネットからは、その家全体がひとつの グローバルIP を使っているように見える。

裏を返すと、外から始まる通信は変換テーブルに載っていないので、ルーターはどの端末へ渡せばよいか分かりません。これが 外から自宅サーバーへつながらない 理由で、この外部ポートに来た通信は内側のこの端末へ渡す と決めておく設定がポート開放(ポートフォワーディング)です。ポート番号そのものは ポート番号とは?80番・443番・22番が何を意味するのかを初心者向けに解説 で整理しています。

自分のIPを実際に確認してみる

違いを一番早くつかむ方法は、内側の住所 と 外側の住所 を自分の端末で並べてみることです。手元のOSに合わせて、次のように確認できます。出力例のアドレスは説明用の値に置き換えています。

Windows(PowerShell またはコマンドプロンプト)の場合:

# プライベートIP: 「IPv4 アドレス」の行を見る
ipconfig
#   IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.1.23
#   サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
#   デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.1.1

# グローバルIP: Windows PowerShell 5.1 では curl.exe と拡張子まで書く
curl.exe -4 ifconfig.me
# 203.0.113.45

Linux・WSL・macOS の場合:

# プライベートIP (Linux / WSL): inet の行を見る
ip -4 addr show
#     inet 192.168.1.23/24 brd 192.168.1.255 scope global dynamic wlan0

# ルーター(デフォルトゲートウェイ)の住所 (Linux / WSL)
ip route
# default via 192.168.1.1 dev wlan0

# プライベートIP (macOS。Wi-Fi は多くの機種で en0)
ipconfig getifaddr en0
# 192.168.1.23

# グローバルIP (共通)
curl -4 ifconfig.me
# 203.0.113.45

内側の住所

ipconfig / ip addr の値

192.168.1.23 のような値が自分の端末のプライベートIPです。家の中の別の端末で見ると、末尾だけが違う値になります。

外側の住所

curl -4 ifconfig.me の値

返ってくる値がその回線の外向きのIPです。同じ家の中の PC とスマホ(同じ Wi-Fi)で確かめると、両方とも同じ値になります。これが「外から見ると家全体がひとつの住所に見える」状態そのものです。

確認でつまずきやすい2点

1. IPv6 が返ってくる:IPv6 が使える回線で -4 を付けずに curl ifconfig.me を実行すると、2001:db8:... のような IPv6 アドレスが返ることがあります(手元の IPv6 対応回線でも実際にそうなりました)。IPv4 のグローバルIPを知りたいときは -4 を付けます。

2. Windows PowerShell の curl:Windows PowerShell 5.1 では curl が Invoke-WebRequest の別名になっていて、IPだけでなく応答の詳細が表示されます。Windows 10 以降に入っている本物の curl を使うには curl.exe と拡張子まで書きます。

ブラウザで外向けのIPを表示するサイトを開いても同じ値が分かります。ただ、コマンドならサーバーやスクリプトからも同じ手順で確認できるので、切り分けではこちらが便利です。

切り分けに使える2つのアドレス

実務で地味に役立つのが 169.254.x.x です。ipconfig でこの値が付いていたら、ほぼ「DHCPからIPをもらえていない=ルーターやLANの問題」だと当たりが付きます。127.0.0.1 のループバックは外には一切出ないので、ここで待ち受けるサーバーには自分以外からアクセスできない、という切り分けにも使えます。

ルーターの外側もプライベートなことがある(CGNAT)

上の確認で、もう1つ見ておきたい値があります。ルーターの管理画面に表示される WAN 側(インターネット側)のIPアドレスです。これを curl -4 ifconfig.me の結果と比べると、回線の形が分かります。

NATが2段になる回線(CGNAT) 端末 192.168.1.23 家庭ルーター WAN 100.64.12.34 1段目のNAT プロバイダー CGNAT(2段目) 外向きのIP 203.0.113.45 外向きのIPを複数の契約者で共有する 家庭ルーターのポート開放だけでは 外からの通信は届かない

IPv4 アドレスが足りないため、プロバイダーがもう一段 NAT をかけ、1つのグローバルIPを複数の契約者で共有する方式があります。これを CGNAT(キャリアグレードNAT)と呼び、ルーターの外側には RFC 6598 で用意された 100.64.0.0/10 のアドレスや、プライベートIPが割り当てられます。スマホのモバイル回線や一部の光回線・格安プランで使われています。

ルーターの WAN 側の表示 読み方 外からの接続(ポート開放)
curl -4 の結果と同じ ルーターが自分専用のグローバルIPを持っている ルーターの設定で可能
100.64.x.x〜100.127.x.x、または 10.x.x.x など プロバイダー側の CGNAT の内側にいる 家庭側の設定だけではできない
IPv4 のアドレスが無く、IPv6 だけ表示される IPv6 の回線の上で IPv4 を運ぶ方式(IPv4 over IPv6)で、IPv4 を共有している可能性が高い 方式によっては使えるポートが限られる。プロバイダーの案内で確認する

日本の家庭向け光回線で増えている IPv6 IPoE と IPv4 over IPv6 の組み合わせでは、IPv4 のグローバルIPを複数の契約者で共有し、契約者ごとに使えるポートの範囲を分ける方式(MAP-E、RFC 7597)や、プロバイダー側で NAT する方式(DS-Lite、RFC 6333)が使われます。どの方式かはプロバイダーやプランで違うため、自宅でサーバーを公開したい 外から自宅へVPNで入りたい という場合は、まずこの表で自分の回線を確かめてください。固定IPのオプションを付ける、IPv6 で待ち受ける、外から入らずに済む仕組み(外向きの接続だけで成り立つ VPN サービスなど)を使う、といった選択肢になります。IPv6 側の事情は IPv4とIPv6の違いをわかりやすく|アドレス数・表記・NAT・共存まで実務目線で解説 で詳しく扱っています。

共有IPならではの影響

CGNAT の回線では、外向きのIPが他の契約者と同じになります。そのため、IPアドレス単位でアクセス制限をしているサービスで、自分とは関係ない利用者のアクセスとまとめて扱われることがあります。オンラインゲームで「NAT タイプ」が厳しく判定されるのも、この2段の NAT が原因のことがあります。

実務でどこが重要なのか

初心者のうちは 用語の違い で終わりがちですが、実務では次の場面で効いてきます。

外から見せる

1. サーバー公開やポート開放

社内や自宅に置いたサーバーを外から見せたいとき、内側のプライベートIPだけ分かっていても足りません。どのグローバルIPで受けるのか、ルーターでどのポートをどの端末へ転送するのか、そもそも回線が CGNAT ではないかまで確認する必要があります。

外から入る

2. VPN やリモート接続

VPN でも、端末にどのプライベートIPを配るのか 外側からどこへ入るのか が関わります。家庭回線や小規模拠点では、グローバルIPが固定か動的か、NAT の内側にいるかで設計が変わります。拠点どうしで 192.168.1.0/24 が重なると、VPN をつないでも片方へ届かなくなります。仕組みは VPNとは?仕組み・種類・脆弱性・実務での対策 で整理しています。

トラブル対応

3. 社内ネットワークの切り分け

社内トラブルで 外へ出られない 同じ社内なのにつながらない というとき、どこがプライベートIP空間で、どこが外向けのグローバルIP側かを区別できると切り分けやすくなります。DNS の問題なのか NAT の問題なのか ファイアウォールの問題なのか の見え方が変わります。

クラウド

4. クラウドでも同じ発想が出てくる

AWS でも public subnet と private subnet を分け、内側のサーバーは NAT Gateway 経由で外へ出ます。AWS は2024年2月からパブリック IPv4 アドレス1つにつき1時間あたり0.005ドルを請求しているため、不要なグローバルIPを持たせない設計は費用の面でも意味があります。詳しくは NAT Gatewayとは? を見てください。

よくある誤解

プライベートIPなら安全、ではない

プライベートIPは インターネットにそのまま露出しない という意味では役立ちます。でも、それ自体がセキュリティ対策そのものではありません。社内や家庭内に入られたあと、横移動や誤設定の問題が消えるわけではないですし、ファイアウォール や認証が不要になるわけでもありません。

誤解

グローバルIPはサーバーだけのもの、でもない

サーバー公開の文脈で語られやすいですが、家庭回線の外向けインターフェースにもグローバルIPは付きます。サーバーを持っていないから関係ない ではなく、普段インターネットを使うだけでも関わっています。

誤解

家の端末が全部同じIPで動いているわけではない

外から見るとひとつのグローバルIPでも、家の中では各端末が別のプライベートIPを持っています。家の中の全部が同じIP ではなく、外へ出るときだけ代表をひとつにまとめている と考えると分かりやすいです。

誤解

curl で出たIPは自分専用、とは限らない

CGNAT の回線では、表示されたグローバルIPを他の契約者も使っています。そのIPを相手に伝えても、外から自分の端末へはつながりません。

グローバルIPとプライベートIPに関するよくある質問

Q. 自分のグローバルIPはどうやって確認できますか?

A. curl -4 ifconfig.me のように外向けのIPを返すサービスへアクセスすると表示されます。Windows PowerShell 5.1 では curl.exe -4 ifconfig.me と書きます。同じ回線につながった端末では、どの端末で調べても同じ値になります。

Q. 100.64.x.x はプライベートIPですか?

A. RFC 1918 のプライベートIPではなく、RFC 6598 でプロバイダーの CGNAT 用に用意された共有アドレス(100.64.0.0/10)です。インターネットからは直接届かない点はプライベートIPと同じなので、ルーターの WAN 側にこの値が付いていたら、外からの接続はプロバイダー側で止まると考えてください。

Q. 同じプライベートIPが世界中で重複していても問題ないのですか?

A. NAT を挟むことで外には見えないため、別のネットワーク内なら重複しても問題ありません。問題になるのは、VPN で接続したときに両方のネットワークでアドレスがぶつかる場合などです。社内ネットワークでは、家庭用ルーターでよく使われる 192.168.0.0/24 や 192.168.1.0/24 を避けておくと、在宅勤務の VPN で衝突しにくくなります。

Q. グローバルIPは固定で取れますか?

A. 家庭用回線は通常 動的IP で、再接続すると変わることがあります。固定IPのオプションを契約するか、固定IPが付与される業務用回線・VPS・クラウドサービスを使うのが基本です。IPv4 を共有する方式の回線では、固定IPオプションを付けると IPv4 の扱いが変わることもあるので、プロバイダーの案内を確認してください。

Q. IPv6 でもプライベートIPの考え方はありますか?

A. IPv6 では RFC 4193 の ULA(Unique Local Address、fc00::/7)がプライベートIPに近い役割を持ちます。実際に使うのは、そのうち後半の fd00::/8 です。ただし IPv6 はアドレス空間が広いため、家庭でも各端末にグローバルな IPv6 アドレスが直接付くのが普通で、NAT で隠す前提にはなっていません。

Q. クラウドのプライベートIPと家庭のプライベートIPは違いますか?

A. 仕組みは同じです。AWS の VPC、Google Cloud の VPC ネットワークなども RFC 1918 のプライベートIP空間を使います。クラウドの場合は VPC ピアリングや VPN で複数の 家 を繋ぐイメージになり、つなぐ予定のネットワークどうしで範囲を重ねないことが大切です。

まとめ

グローバルIP と プライベートIP の違いは、外側とやり取りするための住所 と 内側で機器を増やしやすくするための住所 が分かれていて、その境目で NAT や ルーター が変換している、という構造の話です。

迷ったら、端末のIP(ipconfig / ip addr)、ルーターの WAN 側のIP、curl -4 ifconfig.me の3つを並べてください。最初の2つが違えば家庭ルーターの NAT、後の2つが違えばプロバイダーの CGNAT が間にある、と読めます。次に読むなら、通信の中身 まで見たい場合は TCPとUDPの違いは?実務で重要な使い分けを初心者向けに解説、名前解決 とつなげたい場合は ネームサーバーとDNSレコードってなに?役割・変える場所・混ざりやすい点を解説 がおすすめです。


参考リンク

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